リハビリ(リハビリテーション)とは

当記事は、
義肢装具士講習会テキスト医学編
財団法人テクノエイド協会  
リハビリテーション医学の世界

上田 敏 著
より、引用させていただいております。

リハビリテーション(rehabilitation)は「訓練」と思われがちですが、
この言葉はラテン語のハビリス(habilis)という、「適した、ふさわしい」との形容詞を語幹にした言葉です。
対象者が何かの原因で望ましくない状態に陥った時に、そこから救い出して再びふさわしい状態に復帰させるとの意味を持っています。

リハビリテーションの定義

*リハビリテーションとは患者が身体、心理、精神、社会、職業的に正常な生活が営めるように、
そのポテンシャル(可能性)を最大限に発揮することを目的とした治療訓練。
*医学、社会、教育、職業的手段の組み合わせ、かつ相互に調整して訓練あるいは再訓練によって、対象者の機能的能力を可能な最高レベルに達せしめること。
*身体、精神かつ社会的に最も適した機能水準の達成を可能にすることで、各個人が自らの人生を変革していくための手段提供を目指し、かつ時間を限定したプロセスであると表現。

リハビリテーション医学の歴史

1741年 
内科医のニコラ・アンドレの著書で身体の変形を装具により矯正が可能と強調し、それをオルトペディー(Orthopedie)と呼んだ。
これが今日の整形外科学の語の起源である。

1780年 
軍医として一生を過ごしたティソーJ.C.Tissotは、
「内科的および外科的体操」(Gymnastique Medicinale et Chirurgicale)という大著を出版。
当署は優れた臨床的洞察に満ちており、すでに褥創の予防法や作業療法(仕事と遊びの治療的応用)も述べられていた。

1821年 
デルペッシュJ.M.Delpech(整形外科医パイオニアの一人)が、脊柱側弯の少女向けに学校を設立。
大きな体育館を備え、最初のリハビリテーション・センターと呼んでよいものであった。

1887年 
神経内科医のフレンケルH.S.Frenkelは、多数の脊髄疾患者を診ているうちに指鼻試験を繰り返し練習にて改善を経験。
治療体操の体系を生み出し、1889年に発表した。現在でも一部で行われている失調症の治療体操である。
フュルジャンス・レイモンFulgence Raymond(サルペトリエール病院におけるシャルコーJ.M.Charcotの後継者)が、
フレンケルの業績に感銘を受けてサルペトリエール病院に運動療法室を設立(おそらく病院における最初の運動療法室)。
レイモンはここで行った訓練を機能的再教育(reeducation fonctionnelle)と呼んだ。

1917年 
第一次世界大戦の際にアメリカ陸軍軍医総監部の下に、
「身体再建およびリハビリテーション部門」(Division of Physical Reconstruction and Rehabilita)が設けられ、
モックH.E.Mock軍医大佐が責任者となった。これは医学の世界で「リハビリテーション」の語が使われたほとんど最初のことであった。

1920年 
職業的リハビリテーション活動を促進するためのスミス・フェス Smith-Fess法が出されている。

1926年
前記のモックが「物理療法アーカイヴ」誌に初めてリハビリテーションの語を用いて、総合的なアプローチの重要性を強調している。

1945年 
ジョージ・ディーバー George G.Deaverと理学療法士のブラウン女史 Eleanor Brownが共に、
「松葉杖の挑戦」(The Challenge of Crutches)と「日常生活に必要な身体機能ー日常生活動作」(The Physical Daily Life-The Activities of Daily Li)という
2冊の名著を書いた。
これは現代のリハビリテーション医学の医療技術面での礎石を置いたもので、
それまでの医学で「生命」の視点が支配的であったのに対し、
日常生活動作(ADL)の概念提唱で医学の世界に初めて「生活」の視点を導入した。
この時点で、もはや単なる運動療法でも物理療法でもない現代的なリハビリテーション医学が誕生した。

障害の意味

1.impairment(機能障害・形態異常を含む)
障害の一次的レベルであり、直接疾患(外傷を含む)から生じる、生物学的レベルで捉えた障害。能力障害または社会的不利の原因となる。
またはその可能性のある、機能(身体的または精神的な)もしくは形態の何かしらの異常。

2.disability(能力低下)
障害の二次的レベルであり、機能・形態障害から生じる、人間個体のレベルで捉えた障害。
与えられた地域的・文化的条件下で通常当然行えると考えられる行為を、実用性をもって行う能力の制限あるいは喪失。

3.handicap(社会的不利)
障害の三次的レベルであり、疾患、機能・形態障害、あるいは能力障害から生じる、社会的存在としての人間レベルで捉えた障害。
疾患の結果として、かつて有していた、あるいは当然保証されるべき基本的人権の行使が制約または妨げられ、
正当な社会的役割の不可能を指す。

リハビリテーション医学の概念

1.第Ⅲの医学
「予防」「治療」「リハビリテーション」

2.障害学(障害に関する医学)
診断・評価
障害発生の予防
治療と再定着(訓練、補装具リハ機器、環境調整)

3.目的
復権の医学・障害の医学
これ以上の改善が期待できなければ医学として後は何もやる事が無いと考えがちですが、
「復権の医学」であるリハビリテーション医学は、そのような状況になっても決して諦めず、治癒は不可能になっても患者さんのためにはまだまだ医学としてできる事があると考えて、色々な手技を駆使して、工夫を凝らすのです。